車を廃車にするには、まず「本当に廃車が最善の選択か」を売却や修理と比較して判断し、そのうえで一時抹消登録か永久抹消登録かを選び、自分で運輸支局へ行くか業者に依頼するかを決めるという流れになります。結論を先に言うと、買取や下取りで値段がつく車は売却したほうが得になりやすく、修理費用が車の時価を上回っている車や今後使う予定がない車は廃車を選ぶ人が多くなります。この記事では、廃車にすべきかどうかの判断基準と、廃車にすると決めたあとの手続きの全体像を、2026年9月時点の公開情報にもとづいて整理します。
車を廃車にする前に、売却・下取りができないかを確認したほうがよい
車を廃車にする前に確認したいのは、その車に買取や下取りの値段がつくかどうかです。廃車(永久抹消登録)にした場合、車自体の売却代金は入ってきません。自動車リサイクルシステムの案内によると、新車購入時に支払うリサイクル料金はシュレッダーダストやエアバッグ類、フロン類の処理費用にあてられるものであり、廃車にしたからといって別途お金が戻ってくる仕組みではありません。受け取れる可能性があるのは、車検が残っている場合の自動車重量税の還付や、自治体によっては自動車税の月割還付にとどまります。
一方、買取や下取りに出せる車であれば、車両の状態に応じた金額を受け取れます。買取相場は中古車買取店の一括見積もりサービスなどで確認でき、年式が古くても輸出向けの需要がある車種や、部品単位での需要がある車種は、想定より高い金額がつくこともあります。廃車と売却のどちらが向いているかは、大まかに次のように分けられます。
| 項目 | 廃車(永久抹消) | 売却・下取り |
| 手元に入るお金 | 原則なし(重量税・自動車税の還付のみ) | 買取額(車の状態次第) |
| 向いているケース | 大きく損傷、年式が古く買い手が見つからない | 動作に問題がなく年式・距離が浅い |
| 手続きの相手 | 運輸支局・軽自動車検査協会または廃車業者 | 買取業者・デ ィーラー |
編集部の見解としては、廃車を決める前に一度、買取店で査定を受けてみる価値はあります。年式が古い車や事故歴のある車でも、部品や輸出向けの需要から値段がつくケースがあり、廃車よりも売却のほうが手元に残る金額が大きくなることがあるためです。
修理費用が車の時価を超えているなら、廃車にする判断は合理的になりやすい
修理すべきか廃車にすべきか迷う場合の判断軸は、修理費用が車の時価(査定額)に対してどれくらいの割合になっているかです。修理費用が車の時価に近い、または上回っている場合、修理して乗り続けても資産としての価値はほとんど戻らないため、廃車や売却を検討する人が多くなります。逆に、時価に対して修理費用が小さく、今後もその車を使う予定がある場合は、修理して乗り続けたほうが合理的になりやすい場面もあります。エンジン故障を例にした具体的な費用相場や判断の目安は、エンジン故障で廃車寸前|修理と乗り換えの判断基準でも詳しく解説しています。老朽化や複数箇所の修理が重なっているケースについては、古い車の修理代が高すぎる…修理すべきか乗り換えるべきか判断する方法も参考になります。
今後その車を使う予定があるかどうかで「一時抹消」か「永久抹消」かが変わる
廃車にすると決めた場合でも、今後その車をまた使う可能性があるかどうかで選ぶ登録の種類が変わります。転勤や入院などで一定期間だけ車を使わない場合は、車を解体せずに使用を中止する一時抹消登録を選べば、あとから再登録して公道を走れる状態に戻せます。一方、リサイクル業者に引き渡して解体処分し、二度とその車には乗らない場合は永久抹消登録を行います。解体してしまうと元の登録には戻せないため、再登録の可能性がまったくない車に対して行う手続きになります。一時抹消登録をした車をあとから解体する場合は、その時点であらためて永久抹消登録の手続きが必要になるため、将来の予定がはっきりしない場合は、いったん一時抹消登録を選んでおくと選択の幅を残せます。どちらを選ぶべきか迷う場合や、それぞれの必要書類・費用の詳しい内容は、廃車手続きの必要書類と費用まとめ|自分でやる場合と業者に頼む場合の違いで一覧にしています。
廃車にすると決めたら、自分で手続きするか業者に依頼するかを選ぶ
廃車にすると決めたあとの手続きは、自分で運輸支局や軽自動車検査協会へ行く方法と、廃車買取業者やディーラーに依頼する方法の2通りがあります。自分で行う場合は、車検証・ナンバープレート・印鑑登録証明書などの書類を揃えて窓口へ向かう必要があり、平日日中に半日程度の時間を確保したい作業になります。業者に依頼する場合は書類収集や窓口提出を代行してもらえますが、車を引き渡す際に使用済自動車引取証明書を必ず受け取り、解体報告記録がいつなされたかを自分でも把握しておく必要があります。普通車と軽自動車では窓口も必要書類も異なるため、当日の具体的な流れは廃車手続きは自分でできる?運輸支局・軽自動車検査協会での流れを解説で確認してから向かうと出直しを防げます。なお、車のローンが残っている場合は、信販会社名義のままでは廃車の申請ができないため、先に所有権解除の手続きが必要になります。詳しい条件はローンが残っている車を廃車にする手順|所有権解除の流れとできないケースにまとめています。
廃車手続きの費用は登録手数料ではなく書類取得費・代行手数料で差が出る
廃車手続きでかかる費用は、登録手数料そのものではなく、書類の取得費や業者への代行手数料が中心です。永久抹消登録の登録手数料は無料で、一時抹消登録も普通車で350円程度と、2026年9月時点の国土交通省の案内にもとづけばそれほど大きな金額ではありません。実際に差が出るのは、印鑑登録証明書の発行費用や、住所・氏名に変更がある場合の住民票・戸籍謄本の取得費用です。業者に依頼する場合は、これらの書類取得費に加えて代行手数料が発生するのが一般的で、依頼先によって金額に差があります。金額の内訳は事前に見積もりを確認したうえで、自分で行うか依頼するかを判断してください。
車検が残っているまま廃車にすると自動車重量税・自動車税の還付を受けられる場合がある
車検が残っている車を解体して永久抹消登録をする場合、車検の残存期間が1ヶ月以上あれば自動車重量税の還付を受けられ、自動車税(種別割)も月割で還付される自治体が多く見られます(一時抹消登録は対象外)。還付の条件・申請方法・還付までの期間の詳細は廃車手続きの必要書類と費用まとめ|自分でやる場合と業者に頼む場合の違いで解説しています。
廃車の手続きには数日から数週間かかるため、その間の移動手段も考えておきたい
引取業者に車を引き渡してから、解体報告記録の連絡を受けて永久抹消登録が完了するまでには、数日から数週間かかることがあります。自分で運輸支局に行く場合も、書類に不備があれば出直しが必要になり、平日しか窓口が開いていないため思った以上に時間がかかることもあります。その間、通勤や送迎で車が必要な場合は、廃車の手続きが終わるのを待たずに移動手段を並行して確保しておく方法があります。
数日程度のつなぎであれば短期レンタカーで十分ですが、次の車を決めるまでに1ヶ月以上かかりそうな場合は、1週間・1ヶ月単位で契約できる長期専門レンタカー「マンスリーゴー」も選択肢になります。軽ミニクラスなら1ヶ月26,400円(税込)から利用でき、任意保険や定期メンテナンスも料金に含まれています。カーリースのような与信審査は原則不要で、契約はオンラインで完結し、運転免許証とクレジットカードがあれば手続きを進められます(対応エリアは東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城で、配車・引取の料金や対応可否は場所や拠点によって異なります)。廃車後すぐに次の車が必要な場合の費用比較は、廃車後すぐ車が必要なときの対処法でも詳しく解説しています。
結局、廃車を選んだほうがよいのはどんな人か
廃車を選んだほうがよいのは、事故や老朽化で大きく損傷しており買い手が見つかりにくい車を持っていて、今後その車を使う予定がない人です。逆に、動作に問題がなく年式・距離がまだ浅い車であれば、廃車にする前に買取店で査定を受け、売却できるかどうかを確認したほうが、手元に残る金額が大きくなる可能性があります。修理費用が車の時価を大きく超えている場合や、車検・税金の負担が重く感じられる場合も、廃車を含めて選択肢を比較検討する価値があります。自動車税の負担が理由で廃車を検討している場合は自動車税が払えない時の全対処法、相続した車を廃車にするか迷っている場合は実家の車を相続したら?乗る・手放すの判断基準と手続きまとめもあわせて参考にしてください。どの手続きを選ぶ場合でも、書類を早めに揃え、手続き中に車が必要になるかどうかを事前に考えておくことが、スムーズに進めるポイントです。
よくある質問
車を廃車にするにはいくらかかりますか?
登録そのものの手数料は、永久抹消登録が無料、一時抹消登録も普通車で350円程度と大きな金額ではありません。実際にかかるのは印鑑登録証明書などの書類取得費で、業者に依頼する場合はこれに代行手数料が加わります。金額は依頼先や必要書類の状況によって変わるため、事前に見積もりを確認してください。
廃車にすると税金はどうなりますか?
車検が残っている車を永久抹消登録にすると、残存期間1ヶ月以上を条件に自動車重量税の還付を受けられる場合があります。自動車税(種別割)も月割で還付される自治体が多く見られますが、還付の有無や方法は自治体によって異なるため、車の使用の本拠地を管轄する税事務所に確認してください。
車検が切れていても廃車にできますか?
できます。車検の有無にかかわらず、一時抹消登録・永久抹消登録の申請自体は可能です。ただし自動車重量税の還付は車検残存期間が1ヶ月以上あることが条件のため、車検が切れている場合は還付の対象になりません。
ローンが残っている車でも廃車にできますか?
信販会社名義のままでは廃車の申請ができないため、先に所有権解除の手続きが必要です。所有権解除ができるケースとできないケースがあるため、ローンが残っている車を廃車にする手順|所有権解除の流れとできないケースで詳しい条件を確認してください。
廃車手続き中でも車は使えますか?
使えます。廃車の手続きと車を確保する手続きは別のものなので、永久抹消登録が完了していなくても、短期レンタカーや月単位の長期レンタカーを契約すること自体に問題はありません。
車を廃車にするには、売却や修理との比較で本当に廃車が最善かどうかを最初に確認し、一時抹消登録か永久抹消登録かを選んだうえで、自分で手続きするか業者に依頼するかを決めるという順序で進めると迷いにくくなります。手続きの当日に慌てないためには、対象の車が普通車か軽自動車かを確認し、それぞれの窓口・必要書類に合わせて準備しておくことが重要です。自分の車のリサイクル料金が預託済みかどうかは、自動車リサイクルシステムの公式サイトで車検証の情報を入力すると確認できます。中古車として購入した車など、まれに未預託のままになっているケースもあるため、廃車を検討し始めた早い段階で確認しておくと、後から追加の費用が発生しないかを事前に把握できます。この記事で紹介した必要書類・費用の詳細や、運輸支局・軽自動車検査協会での当日の流れについては、それぞれの詳しい記事もあわせてご確認ください。
また、永久抹消登録が完了したあとは、加入している自賠責保険の解約手続きも忘れずに行ってください。解約のタイミングや残り期間分の返戻金の有無は、契約している保険会社に確認するのが確実です。廃車にするかどうかで迷っている段階でも、査定を受けたり運輸支局・軽自動車検査協会に確認したりするだけであれば費用はかからないことが多いため、早めに情報を集めておくと手続き全体がスムーズに進みます。

