廃車手続きは、業者に依頼せず自分で行うこともできます。ただし窓口は一つではありません。普通車は「陸運局」と呼ばれることが多い運輸支局が窓口になりますが、軽自動車は運輸支局ではなく軽自動車検査協会が窓口になります。この記事では、普通車と軽自動車それぞれについて、自分で手続きする場合の当日の流れと、出直しを防ぐための持ち物を、国土交通省と軽自動車検査協会の公開情報にもとづいて整理します(2026年8月時点の情報です)。
廃車手続きは自分でできるが、最初に「普通車」か「軽自動車」かを確認する
廃車手続きは、書類と手数料を揃えれば自分で行えます。ただし最初に確認すべきことは、対象の車が普通車(登録車)か軽自動車かという点です。普通車と軽自動車では手続きを行う窓口も、必要になる印鑑の種類も異なるため、この確認を省くと当日窓口で案内が変わってしまうことがあります。車検証の車両番号欄を見れば、ナンバープレートの分類番号(3桁の数字)で普通車か軽自動車かを判別できます。軽自動車のナンバーは「480」や「580」のように5・7・8で始まる番号が中心です。
普通車の窓口は「陸運局」ではなく管轄の運輸支局
普通車の廃車手続きは「陸運局」と呼ばれることがありますが、現在の正式な窓口名称は運輸支局(運輸局の下部組織)です。国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイトでも、廃車の手続き(抹消登録)は運輸支局等で行うと案内されています。どの運輸支局でもよいわけではなく、ナンバープレートに表示されている地域を管轄する運輸支局に申請する必要があります。管轄が分からない場合は、国土交通省のポータルサイトにある運輸支局等一覧のページで確認できます。
軽自動車は運輸支局ではなく軽自動車検査協会が窓口になる
軽自動車の廃車手続きは、運輸支局ではなく軽自動車検査協会(軽自協)の事務所・支所・分室が窓口になります。軽自動車検査協会の公式サイトでは、軽自動車の使用を一時中止する場合の手続きを「自動車検査証返納届(一時使用中止)」と呼んでいます。普通車の一時抹消登録に相当する手続きですが、名称も窓口も異なるため、「陸運局に行けばどの車でも手続きできる」と思い込んで運輸支局に向かってしまうと、そこでは受け付けてもらえません。申請先は使用の本拠の位置(ナンバー)を管轄する軽自動車検査協会の事務所・支所・分室で、協会のサイトにある手続き事務所検索システムから確認できます。
普通車を一時的に使用中止する「一時抹消登録」の当日の流れ
普通車をしばらく使わないだけで、将来また公道で使う可能性がある場合は抹消登録を行います。国土交通省のポータルサイトが案内している手続きの流れは、大きく分けると次のとおりです。
- 車検証・ナンバープレート・実印・印鑑登録証明書など必要書類を準備する
- 管轄の運輸支局へ行き、ナンバープレート(前後2枚)を返却窓口に返却する
- 手数料納付書に350円分の登録手数料印紙を貼付し、一時抹消登録申請書とともに窓口へ提出する
- 書類に不備がなければ、その場で登録識別情報の通知を受け取る
手数料である350円は、2026年8月時点の国土交通省公表の登録手数料一覧にもとづく金額です。書類が揃っていれば、窓口での手続き自体は数十分程度で終わりますが、運輸支局の窓口は平日の日中のみで、土日祝日と年末年始は休止します。受付時間は支局によって少し異なるため、訪問前に管轄の運輸支局へ確認しておくと安心です。ここで受け取る登録識別情報は、将来車を再登録する場合や自賠責保険を解約する場合に必要になるため、書類とあわせて保管してください。
普通車を解体して手放す「永久抹消登録」は解体後でないと申請できない
今後その車には二度と乗らず、解体して処分する場合は「永久抹消登録」を行います。永久抹消登録の大きな特徴は、リサイクル業者による解体が終わり、「解体報告記録がなされた日」と「移動報告番号」が通知されてから申請するという順序です。この情報が届く前に運輸支局へ行っても、申請書に記入する項目が埋まらないため受け付けてもらえません。まず車をリサイクル業者に引き渡し、解体終了の連絡を受けたうえで、車検証・ナンバープレート・印鑑登録証明書などを持って運輸支局へ向かう、という順序を覚えておいてください。なお、永久抹消登録そのものの登録手数料は無料です。車検の残存期間が1ヶ月以上あれば自動車重量税の還付を受けられる場合がありますが、還付の条件や金額の詳細は、廃車手続きの必要書類と費用まとめで解説しています。
軽自動車の返納手続きは印鑑証明・実印が不要な分シンプル
軽自動車検査協会が案内している自動車検査証返納届(一時使用中止)の必要書類は、自動車検査証、ナンバープレート、返納届出書、そして代理人が申請する場合の申請依頼書です。普通車の一時抹消登録で必要になる実印や印鑑登録証明書は、軽自動車の返納手続きでは求められていません。そのぶん、平日に本人が行けない場合でも、申請依頼書に記名があれば委任状に実印を押す手間がかからず、代理人による提出のハードルが低いのが軽自動車の特徴です。自動車検査証返納証明書の交付を受ける場合は、1件につき450円の手数料がかかります。なお、車検証に記載された使用者と所有者が異なる場合は、事前に所有者(販売店やローン会社など)から返納についての同意を得ておく必要があると軽自動車検査協会は案内しています。
3月は軽自動車検査協会の窓口が混雑しやすい
軽自動車税(種別割)は、毎年4月1日時点で車検証に登録されている名義人に課税されます。このため、年度が変わる直前の3月は返納の申請が集中し、窓口が大変混雑すると軽自動車検査協会の公式サイトでも案内されています。普通車についても、年度末は登録関連の申請が増えやすい時期にあたるため、3月に手続きを予定している場合は早めに動き始めるか、時間に余裕を持って訪問することをおすすめします。
当日の持ち物は普通車と軽自動車で異なる
普通車の一時抹消登録・永久抹消登録では、車検証・ナンバープレートに加えて実印を押した委任状(代理人の場合)と発行3ヶ月以内の印鑑登録証明書が必要です。軽自動車の返納届では実印・印鑑登録証明書は原則不要で、代理人が行く場合は委任状ではなく申請依頼書を用意します。永久抹消登録ではこれに加えて使用済自動車引取証明書も必要です。車種・手続き別の持ち物を一覧で確認したい場合は廃車の必要書類は普通車と軽自動車で違う|今すぐ使えるチェックリストを参考にしてください。
運輸支局へ行かずに一部の手続きを自宅から進められる場合がある
国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイトでは、一時抹消登録や永久抹消登録の一部を、自宅のパソコンやスマートフォンから申請できる「自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)」を案内しています。OSSを利用できれば、運輸支局の窓口に出向く回数や時間を減らせる可能性があります。ただし、対応している手続きの範囲は限られており、住んでいる地域や 車の登録状況によって利用できるかどうかが異なるため、利用を検討する場合は、事前に国土交通省のポータルサイトでOSSの対象範囲を確認してください。軽自動車の一部手続きについても、地域によってオンライン対応が進められている場合がありますが、対応状況は軽自動車検査協会の窓口や公式サイトで確認するのが確実です。ナンバープレートの返却など、システム上どうしても窓口での対応が必要な手続きも残るため、OSSを使う場合でも運輸支局や軽自動車検査協会への訪問が完全にゼロになるとは限りません。
書類に不備があった場合や代理人が手続きする場合の注意点
運輸支局や軽自動車検査協会の窓口では、その場で書類を確認してもらえますが、印鑑登録証明書の発行から3ヶ月以上経っていたり、車検証の住所と印鑑登録証明書の住所が引っ越しなどで一致していなかったりすると、追加で住民票や戸籍の附票が必要になり、その日のうちに手続きが終わらないことがあります。代理人が申請する場合は、普通車であれば所有者本人の実印を押した委任状、軽自動車であれば申請依頼書が必要です。書類名が似ているため、普通車用の委任状の書式を軽自動車の手続きに使おうとして窓口で指摘されるケースもあるので、事前にどちらの窓口に行くのかを確認したうえで、対応する書式を用意してください。
平日に運輸支局へ行く時間が取れない場合はどうするか
運輸支局も軽自動車検査協会も、窓口は平日の日中のみで、仕事をしている人にとっては休みを取る必要があります。日程の都合がつかない場合は、廃車買取業者やディーラーに手続きを代行してもらう方法もありますが、代行を依頼する場合でも、車を引き渡す際に使用済自動車引取証明書を受け取っておくなど、自分で確認しておきたい点は残ります。また、手続きのために平日を空ける間や、廃車にする車をすでに手放していて次の車が決まるまでの間、通勤や送迎で車が必要になることもあります。その場合は、短期間だけ車を確保する手段として、1週間・1ヶ月単位で契約できる長期専門レンタカー「マンスリーゴー」も選択肢のひとつです。任意保険や定期メンテナンスが料金に含まれ、カーリースのような与信審査は原則不要で、契約はオンラインで完結します(配車・引取の対応可否や料金は場所や拠点によって異なります)。
廃車手続きを自分で行う場合によくある質問
廃車手続きは代理人でもできますか?
できます。普通車の場合は所有者本人の実印を押印した委任状、軽自動車の場合は申請依頼書を用意すれば、代理人が窓口で申請できます。所有者が未成年で印鑑登録証明書が発行されない場合など、条件によって用意する書類が変わることもあるため、事前に管轄の窓口へ確認しておくと安心です。
陸運局と運輸支局は同じ場所ですか?
同じ場所を指していることが多いですが、現在の正式名称は運輸支局です。国土交通省のポータルサイトでも「陸運局」ではなく「運輸支局等」という表記が使われています。軽自動車はこの運輸支局ではなく、軽自動車検査協会が窓口になる点に注意してください。
軽自動車の廃車手続きに実印や印鑑証明書は必要ですか?
軽自動車検査協会が案内している自動車検査証返納届(一時使用中止)の必要書類には、実印や印鑑登録証明書は含まれていません。代理人が申請する場合も、委任状ではなく申請依頼書で対応できます。
一時抹消登録と永久抹消登録はどちらも同じ窓口で手続きできますか?
普通車であれば、どちらも管轄の運輸支局が窓口になります。ただし永久抹消登録は、リサイクル業者による解体が終わり、解体報告記録日と移動報告番号の通知を受けたあとでなければ申請できません。この順番を待たずに運輸支局へ行っても、その場では受け付けてもらえません。
手続きの途中で書類が足りないと分かった場合はどうなりますか?
その日のうちに書類を追加できなければ、後日あらためて窓口を訪れることになります。住民票や戸籍の附票など、取得に時間がかかる書類が必要になるケースもあるため、車検証に記載された氏名・住所と、印鑑登録証明書の氏名・住所が一致しているかを事前に確認しておくと、出直しのリスクを減らせます。
廃車手続きを自分で行うのに向いている人・向いていない人
平日に半日程度の時間を確保できて、自分の車が普通車か軽自動車かを把握したうえで管轄の窓口に出向ける人であれば、廃車手続きは自分で行えます。一方で、平日に休みを取りづらい人や、引っ越し・改姓などで用意する書類が増えそうな人は、廃車買取業者やディーラーへの代行依頼も検討したほうが、結果的にスムーズに進むことがあります。どちらを選ぶ場合でも、対象の車が普通車か軽自動車かを最初に確認し、それぞれの窓口・書式に合わせて準備を進めることが、出直しを防ぐ一番のポイントです。手続き中に車が必要な場合の選択肢は廃車後すぐ車が必要なときの対処法でも解説しています。手続きを進めている間に車が必要になった場合は、マンスリーゴーの料金プランもご検討ください。

