ディーゼル車のデメリットは、短距離走行でDPF(排出ガス浄化装置)の負担が増えること、車両価格の差を燃料代で回収しにくいことを中心に7つあります。特に後悔しやすいのは、1回の走行が10分程度の買い物や送迎が中心で、年間走行距離が1万kmに届かない人です。
一方、長距離を定期的に走る人や、重い車体でも余裕のある加速を求める人には、今でも有力な選択肢です。また、軽油とガソリンの価格差は2026年10月26日調査で約10円となり、「軽油は20円以上安い」という以前の前提で計算すると判断を誤るおそれがあります。この記事では、2026年11月5日時点の公開情報をもとに、損得と使い方の線引きを整理します。
ディーゼル車で後悔しやすい7つのデメリットは使い方で重さが変わる
最初に確認したいのは、デメリットの数より自分の使い方に当てはまるかどうかです。同じディーゼル車でも、毎週長距離を走る人と近所の移動が中心の人では、負担の出方が大きく異なります。
| デメリット | 影響を受けやすい使い方 | 購入前の確認先 |
|---|---|---|
| 短距離でDPFの再生が進みにくい | 片道10分程度の移動の繰り返し | 取扱説明書の警告条件 |
| 車両価格の差を回収しにくい | 年間走行距離が短い | 同条件の見積もり |
| 軽油との価格差が縮小した | 燃料代の差を主な購入理由にしている | 現在の店頭価格 |
| AdBlue(尿素水)の補充が必要な車種がある | 補充時期の管理が苦手 | 搭載の有無と容量 |
| オイル管理の条件が増える | 整備を安さだけで選びたい | 指定規格と交換時期 |
| 自動車税の重課が2年早い | 11年を超えて乗り続ける | 初度登録年月 |
| 寒冷地で燃料トラブルに注意が必要 | 冬に雪山や北日本へ向かう | 現地での給油計画 |
表のうち、後悔につながりやすいのは上の2つです。後の項目は事前に理解すれば管理しやすい一方、走行距離や乗り方は購入後に変えにくいため、最初に確かめておく価値があります。
短距離ばかりだとDPFの再生が完了せず警告が出やすくなる
短距離中心の使い方が不向きとされる主な理由は、フィルターにたまったススを燃やす「再生」が途中で終わりやすいためです。ランドクルーザー250のトヨタ公式取扱説明書では、一般走行で数百kmごとに自動で燃焼処理を行う一方、短い走行が続いた場合やアイドリングストップが多い場合には、通常より早く警告が表示されることがあると説明しています。
マツダ車では10分以下の繰り返しや暖機不足が条件に挙がる
どの程度を短距離と考えるかは車種で異なります。くるまのニュースは、マツダCX-5の説明書の内容として、10分以下の走行の繰り返し、約15km/h以下での走行、長時間のアイドリングを挙げています。短距離を走ったら即故障するわけではなく、途中で再生に必要な距離と速度を確保できれば性能を維持できるという説明です。
編集部の見解として特に注意したいのは、自宅から学校や保育園、スーパーまでの往復が1日に数回あっても、それぞれが短ければエンジンや排気系が十分に温まらないケースです。合計の走行距離だけでなく、1回あたりの走行時間で確認することをおすすめします。
警告が出ても走り続けず表示に従って処理する
警告が出た場合の対応は車種ごとに違います。ランドクルーザー250はスイッチ操作で手動の処理を行い、完了まで約15〜40分かかる場合があります。マツダの海外向け取扱説明書(SKYACTIV-D 1.8)では、暖機後に15km/h以上で約15〜20分走行する手順を案内しており、警告を放置するとランプが点滅して点検が必要になると記載しています。
また、国土交通省が公開した過去のリコール資料には、低速走行や頻繁なエンジン停止を続けた車で、再生時の軽油がエンジンオイルに想定以上に混ざった事例があります。現行車すべてに当てはまる内容ではありませんが、軽負荷の使い方でも点検が必要になる理由を理解する参考になります。
車両価格の差を燃料代で取り返せるかは年間走行距離で大きく変わる
ディーゼル車の価格差を燃料代だけで回収するには、一定以上の走行距離が必要です。マツダ公式サイトのCX-60 XD Drive Edition(2WD)は4,303,200円(税込)で、Car Watchが報じたCX-60の最低価格3,828,000円との差は475,200円です。この最低価格を25S L Package(2WD)とMOTAのカタログで照合しました。ただし、グレードや装備が異なるため純粋なエンジン代だけの差ではありません。
次の表は、わかりやすくするための計算例です。ガソリン車の実燃費を13km/L、ディーゼル車を18km/Lと仮定し、2026年10月26日調査の全国平均価格で算出しました。特定の車種の実燃費ではありません。
| 年間走行距離 | 年間燃料代(ガソリン/ディーゼル) | 年間の差額 | 47.5万円の回収目安 |
|---|---|---|---|
| 5,000km | 約65,400円/約44,400円 | 約21,100円 | 約22.6年 |
| 10,000km | 約130,800円/約88,700円 | 約42,100円 | 約11.3年 |
| 20,000km | 約261,700円/約177,400円 | 約84,200円 | 約5.6年 |
| 30,000km | 約392,500円/約266,200円 | 約126,400円 | 約3.8年 |
年間5,000kmでは回収に20年以上かかる計算で、燃料代の節約だけを理由に選ぶのは現実的ではありません。一方、年間3万km走るなら4年弱まで短くなります。実際には、短距離中心の走行で燃費が落ちること、売却額や整備費は条件によって変わることも考慮してください。
軽油の安さは2026年に縮まり全国平均の差は約10円になっている
現在の価格差を確認すると、以前より燃料代の優位性は小さくなっています。政府の燃料油価格支援サイトの資料によると、2026年10月26日の全国平均はレギュラー170.1円/L、軽油159.7円/Lで、差は10.4円です。資源エネルギー庁の調査を整理したセレクトラの資料では、1年前はレギュラー173.5円/L、軽油153.7円/Lで、差は19.8円でした。
税金の変更も背景にあります。税理士事務所の解説によると、ガソリンの暫定税率25.1円/Lは2025年12月31日に廃止され、税額は28.7円/Lになりました。軽油引取税は群馬県の案内のとおり、2026年4月1日から32.1円/Lが15円/Lへ下がっています。
なお、現在は燃料価格を抑える補助も続いており、同資料では10月29日〜11月4日の支給額をガソリン、軽油とも52.4円/Lとしています。価格差は地域や補助の状況によって変わるため、損得計算では古い記事の数字ではなく、購入時点の店頭価格を使うことが大切です。
AdBlue搭載車は残量がなくなるとエンジンを再始動できない
AdBlueを使うディーゼル車では、燃料とは別に補充の管理が必要です。すべてのディーゼル車に搭載されているわけではないため、購入前に対象車種の仕様を確認してください。
ランドクルーザー250の取扱説明書によると、通常走行では約500kmで1Lを消費し、17.4Lのタンクを満たした状態から約8,300kmで残量がなくなります。走行可能距離が約2,400km以下になると警告が表示され、残量がなくなるとエンジンを停止したあと再始動できません。
ただし、消費量はけん引、長い上り坂、高地、低温などで増えるとされています。長距離旅行や寒冷地へ向かう前に残量を確認すれば、大きな負担になる項目ではありません。補充を販売店やガソリンスタンドに任せるのか、自分で行うのかも決めておくと安心です。
エンジンオイルは指定規格を守り交換費用も見積もっておく
ディーゼル車のオイル交換では、価格より先に指定規格の確認が必要です。ランドクルーザー250の取扱説明書は、指定の規格に相当する品質以外のオイルを使わないよう案内しており、守らない場合は排出ガス浄化装置やエンジンの損傷につながるおそれがあるとしています。
費用面では、ベストカーWebが紹介した過去のマツダ アテンザの例で、オイル量は2.5Lガソリン車の4.5Lに対して2.2Lディーゼル車は5.1L、交換目安もガソリン車の1年または1万5,000kmに対してディーゼル車は1年または1万kmと短くなっています。現行車の条件は異なる場合があるため、購入を検討する車の点検パックやオイル価格を販売店で確認してください。
自動車税の重課はディーゼル車のほうがガソリン車より2年早い
長く乗る予定なら、自動車税が上がる時期も把握しておきたいところです。静岡県の案内では、令和8年度に標準税率へ概ね15%が加算される乗用車を、ディーゼル車は平成27年3月31日以前、ガソリン車は平成25年3月31日以前の新車新規登録分としています。バス・トラックの加算は概ね10%です。
この差は、新車から10年以内に手放す人には直接影響しません。一方、中古で10年前後のディーゼル車を買う場合は、車検証の初度登録年月から重課の有無を確認しましょう。制度の仕組みは自動車税のグリーン化特例と重課の解説で詳しく説明しています。
寒冷地へ行くなら到着後に現地で軽油を入れる計画を立てる
冬に寒い地域へ行く場合は、ガソリン車にはない注意が必要です。軽油に含まれるワックス分が低温で固まると燃料フィルターが詰まり、エンジンがかからなくなる場合があります。ベストカーWebによると、JIS規格の流動点は2号軽油が−7.5℃以下、3号軽油が−20℃以下、特3号軽油が−30℃以下です。
乗りものニュースの取材に対し、石油連盟は寒冷地に入ったら現地で販売されている軽油を入れるよう勧めています。くるまのニュースは、国産メーカー各社の説明書に、到着までに燃料を半分以下にして早めに現地で補給するよう記載があると紹介しています。関東から雪山へ向かう人は、出発前に満タンにしない方法も検討してください。
力強さの裏で再生中の音や加速の変化が気になる場合もある
7つの項目のほかに、感覚面の違いも試乗で確かめたいポイントです。MOTAのカタログでは、CX-60の25S L Packageの最大トルクが250N・m、XD Drive Editionが500N・mで、人や荷物を載せた加速ではディーゼルの余裕を感じやすいと考えられます。
一方、ランドクルーザー250の説明書では、燃焼処理中にアイドリング回転数が上がること、作動音が出る場合があること、加速が悪くなる場合があることを挙げています。短い試乗では再生中の状態に当たらないことも多いため、音や匂いに敏感な人は、販売店に再生中の変化を確認するとよいでしょう。
車種の選択肢にも変化があります。乗りものニュースによると、2026年5月21日に発売された新型CX-5では国内向けのパワートレインにディーゼルが設定されていません。先代CX-5のディーゼルを検討している場合は、CX-5ディーゼルで後悔しやすいポイントも併せて確認してください。
買ってよいかは年間走行距離と1回の乗車時間で線引きする
判断に迷う場合は、今の車で2週間ほど、1回の走行時間と距離を記録する方法がおすすめです。カタログやイメージより、自分の使い方をもとに判断できます。次の表は編集部による目安で、メーカーの基準ではありません。
| 判断 | 使い方の目安 | 考え方 |
|---|---|---|
| 有力な候補 | 年間2万km以上で、1回30分以上の走行が週1回以上ある | 燃料代と走行性能の両方を活かしやすい |
| 条件次第 | 年間1万〜2万kmで、短距離と長距離が混在する | 燃料代より力強さや積載時の余裕に価値を感じるかで判断する |
| 慎重に検討 | 年間1万km未満で、1回10分程度の走行が中心 | ガソリン車やハイブリッド車も比較したい |
例えば、平日は片道5分の送迎だけでも、毎週末に高速道路で往復100km以上走るなら再生の機会を作りやすくなります。反対に、月の走行距離が多くても、渋滞の中で短い移動を何度も繰り返す使い方では注意が必要です。距離だけで判断せず、速度と1回の時間も確認してください。
ディーゼル車の購入前によくある質問
ディーゼル車は「やめとけ」と言われるほど悪い車ですか?
悪い車というより、使い方との相性が大きい車です。長距離を定期的に走る人なら燃費や力強さを活かしやすく、短距離中心の人ではDPFの管理や価格差の負担が目立ちやすくなります。
週末しか乗らない場合でもディーゼル車を選んで大丈夫ですか?
週末に十分な距離と時間を走るなら候補になります。ただし、毎回近所を短時間走るだけなら、再生が進みにくいほか、価格差も回収しにくいため、ガソリン車も比較することをおすすめします。
DPFの警告が出たらすぐに販売店へ行くべきですか?
まず取扱説明書で警告の種類を確認してください。走行や手動操作で処理できる表示もありますが、点滅やエンジン警告灯などを伴う場合は、走行を続けず販売店に相談する必要があるケースがあります。
ディーゼル車にガソリンを入れてしまったらどうすればよいですか?
気付いた時点でエンジンを始動せず、給油所のスタッフやロードサービスに相談してください。グーネットも、走行中に気付いた場合はエンジンを止めてレッカーを呼ぶよう勧めています。
結局ディーゼル車が向いているのは長距離を定期的に走る人
ディーゼル車に向いているのは、年間走行距離が長く、高速道路や郊外を定期的に走る人、多人数や重い荷物を載せる機会が多い人です。力強さに価値を感じるなら、燃料代だけで元が取れなくても納得しやすいでしょう。
向いていないのは、1回の走行が短く、年間走行距離も少ない人、燃料代の節約を主な理由に選ぼうとしている人です。この場合は、デリカD:5の維持費のような車種別の費用も確認しつつ、ガソリン車やハイブリッド車と総額で比較すると、後悔を減らしやすくなります。
納車待ちや購入を迷っている間の車は月単位で借りる方法もある
購入する車を決めても納車まで時間がかかる場合や、乗り換えを急がず一定期間使い方を見直したい場合は、月単位のレンタカーも選択肢です。ディーゼル車に限らず車の買い替えで困りやすい納車待ち中の選択肢も比較できます。
長期専門レンタカーのマンスリーゴーは、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城で利用でき、2026年11月5日時点の料金プランではコンパクトクラスが1週間26,180円、1ヶ月(30日)62,700円、ミニバンクラスが1週間31,570円、1ヶ月(30日)85,800円(いずれも税込)です。任意保険と定期メンテナンスは料金に含まれ、カーリースのような与信審査は原則不要です。
ただし、燃料代は利用者負担で満タン返却が必要です。通常の走行距離は30日で3,000kmまで、超過分は1kmにつき22円(税込)かかります。車種指定はできず、料金表のデリカD:5クラスもディーゼル車を確約するものではないため、特定のディーゼル車の試乗目的には向きません。配車・引取の条件や23歳以上、免許取得から3年以上などの利用条件を確認し、空車状況はLINEでご相談ください。

