社用車の管理は、車両台帳を1つにまとめ、点検と期限の担当者を決め、費用を1台ごとに集計する、この3つから始めると回りやすくなります。そのうえで、同じ事業所で自動車を5台以上(乗車定員11人以上の車なら1台以上)使う場合は、安全運転管理者の選任と運転前後のアルコールチェックも必要です。
この記事では、総務や管理部門の担当者がそのまま使える台帳の項目、点検と車検の周期、記録の保存期間、費用の見直し方を、2026年11月時点の警察庁と国土交通省の公開情報をもとに整理します。リース車やレンタカーを混ぜて使う場合に台帳のどこを変えるかは、長期レンタカーを運営する立場から補足します。
社用車の管理は台帳、点検、記録、費用の4つを1人の責任者に集める
社用車の管理で最初に決めるのは、ツールではなく責任者です。車検は総務、保険は経理、鍵は各部署というように担当が分かれていると、どの期限を誰が見ているのか分からなくなります。全体の責任者を1人決め、拠点がある場合は拠点ごとに更新担当者を置くと、確認の抜けを見つけやすくなります。
| 管理する対象 | 主な内容 | 更新するとき |
|---|---|---|
| 車両台帳 | 車両情報、配置先、車検や保険の期限 | 増車、入替、配置替えの直後 |
| 点検 | 日常点検、定期点検、整備の履歴 | 運転前、点検の実施後 |
| 運転の記録 | 運転日誌、酒気帯び確認、事故や違反 | 業務の開始前と終了後、発生時 |
| 費用 | 燃料、保険、整備、リース料など | 毎月の締め日 |
4つを同時に完成させる必要はありません。車両が少ないうちは台帳と期限の管理を先に整え、台数が増える前に記録の方法を決めるのが現実的な順番です。ここからは、順番を左右する台数の確認から説明します。
最初に確認したいのは事業所ごとの台数で5台が分かれ目になる
法令上の管理体制が大きく変わるのは、自動車の使用の本拠、つまり事業所ごとの台数が基準に達したときです。警察庁の安全運転管理者制度の概要では、乗車定員11人以上の自動車は1台以上、その他の自動車は5台以上で選任が必要とされています。大型自動二輪車と普通自動二輪車は、1台を0.5台として計算します。
台数が20台以上40台未満なら副安全運転管理者を1人、40台以上なら20台増えるごとにさらに1人選任します。選任したら15日以内に都道府県公安委員会へ届け出ます。選任義務に違反した場合の罰則は、2022年10月から50万円以下の罰金に引き上げられています。なお、運行管理者等を置く自動車運送事業者などの事業所は、この制度の対象外です。
全社の合計ではなく拠点ごとに数える点は誤解されやすいところです。山形県が公開するよくある質問では、本店3台、支店2台の場合はどちらも選任不要という例が示されています。一方で、増車や拠点の統合で1つの拠点が5台に達すると選任が必要になるため、台帳には配置先の事業所を必ず入れておきます。
リース車やレンタカーも数える前提で準備し、迷う車は警察署に確認する
リース車については、山形県の案内が名義に関係なく業務に使う車は算定に含むとしており、岐阜県が公開する質疑応答も選任義務が生じるとしています。従業員のマイカーを業務に使う場合は扱いが分かれ、山形県の案内は算定に含むとする一方、岐阜県の質疑応答は含める必要はないとしています。自社の地域の案内を確認してください。
月単位で借りるレンタカーの数え方は、今回確認した警察庁と両県の資料では明記を確認できませんでした。編集部としては、事業所が直接管理する点でリースと近いため、数える前提で準備しておくことをおすすめします。5台前後を行き来する拠点は、増車の前に管轄の警察署へ確認すると確実です。
アルコールチェックは業務の開始前と終了後に行えば運転のたびでなくてよい
酒気帯び確認は、運転ごとではなく業務の開始前や出勤時、終了後や退勤時にまとめて行えます。警察庁のQ&Aが示す基本で、対面が原則です。直行直帰などで対面が難しい場合は、携帯型のアルコール検知器を持たせたうえで、カメラやモニター、または電話などで直接やり取りしながら確認する方法が認められています。
注意したいのは、測定結果の写真をメッセージアプリで送るだけの運用です。岐阜県の質疑応答は、その場で質問して判断力を確かめられないため、対面に準ずる方法に含まれないとしています。朝の出発が早い営業担当者がいる会社ほど、誰がどの時間に通話で確認するかを先に決めておくと運用が崩れにくくなります。
記録する項目は、確認者名、運転者、自動車登録番号など車を識別できる情報、確認の日時、確認の方法、酒気帯びの有無、指示事項、その他必要な事項の8つで、保存期間は1年間です。検知器は取扱説明書に沿って保守し、定期的に故障の有無を確認します。安全運転管理者が不在の日に備え、警察庁の通達が認める補助者をあらかじめ指定し、確認方法を教えておくと安心です。
安全運転管理者の業務には、ほかに運行計画の作成、点呼による確認、運転日誌の備え付けと記録なども含まれます。酒気帯び確認だけを整えて終わりにせず、同じ記録表で運転日誌と点呼の結果まで扱えないか検討すると、記入の手間を減らせます。
車両台帳は1台1行にして期限を日付で入れる
台帳は1台を1行にして、全社で1つのファイルにまとめます。部署ごとに別のファイルがあると、車検の抜けも使われていない車も見えなくなるためです。最低限、次の項目があれば期限管理と費用集計を始められます。
| 区分 | 入れる項目 | 運用のコツ |
|---|---|---|
| 車両 | 登録番号、車種、初度登録年月 | 車検証を見て正確に入力する |
| 配置 | 事業所、主な使用部署、管理担当者 | 台数の確認に使うため拠点名を統一する |
| 保有形態 | 所有、リース、レンタカー、契約先 | リース満了日や返却日も入れる |
| 期限 | 車検、自賠責、任意保険、定期点検 | 「来年3月」ではなく年月日で入れる |
| 運用 | 運転者の範囲、鍵の保管場所、走行距離 | 月末など更新日を決める |
| 費用 | 月額固定費、当月の燃料代と修理代 | 別シートに月別で集計する |
期限の列は日付形式にしておくと、表計算ソフトで残り日数を計算し、条件付き書式で色を付けられます。編集部としては、整備工場の予約や保険の見積もりにかかる時間を考えて、満了の60日前に手配を始め、30日前に完了を確認する2段階の運用をおすすめします。
点検と車検の周期は車の区分で変わるためバンは特に確認する
定期点検と車検は、乗用車か貨物車かで周期が異なります。営業車には貨物登録のバンも多いため、車検証の用途を確認し、乗用車と同じ周期で管理しないよう注意してください。次の表は国土交通省の点検整備の種類と国土交通省九州運輸局の資料をもとに整理したものです。
| 車の区分(自家用) | 車検の有効期間 | 定期点検 | 記録簿の保存 |
|---|---|---|---|
| 乗用車 | 初回3年、以降2年 | 1年ごと29項目、2年ごと60項目 | 2年 |
| 軽貨物車 | 初回2年、以降2年 | 1年ごと29項目、2年ごと60項目 | 2年 |
| 車両総重量8トン未満の貨物車 | 初回2年、以降1年 | 6ヶ月ごと24項目、12ヶ月ごと86項目 | 1年 |
たとえば4ナンバーの小型バンは、一般に3行目の区分にあたり、乗用車より確認の回数が増えます。走行距離が短い場合に省略できる項目もありますが、点検そのものが不要になるわけではありません。点検整備記録簿は車に備え付ける決まりのため、台帳には実施日と次回の期限を転記しておくと、車を開けなくても状況を確認できます。
日常点検も使用者の義務です。自家用乗用車は走行距離や運行時の状態から判断した適切な時期に行うものとされていますが、安全運転管理者を置く事業所では、運転前の日常点検を実施したかを点呼で確認します。項目は国土交通省の日常点検項目チェックシートを基準にすると、社内で新たに作る手間を省けます。通達では点呼の結果についても、点呼簿やシステムなどで記録するよう努めることとされています。
社用車のコストは1稼働日あたりで比べると減らせる車が分かる
費用を減らす近道は、燃料代を細かく削る前に、使われていない車を見つけることです。車ごとに月間の総費用を出し、稼働日数で割ると、見直す順番が分かります。総費用には、リース料または減価償却費、保険料、税金、駐車場代、燃料代、整備費を含めます。
計算例として、どちらも月6万円かかる車で比べてみます。月20日動くA車は1稼働日あたり3,000円ですが、月4日しか動かないB車は15,000円です。金額は説明のための仮定ですが、B車は別の拠点への配置替え、共用化、手放すことを検討する候補になります。予約表や運転日誌の記録があれば、稼働日数を集計できます。
残す車については、車種が用途に合っているかも見直します。2名乗車で小さな荷物しか積まない業務に大きな車を使っていれば、次の入替で小さなクラスに変える余地があります。維持費の差は軽自動車と普通車の年間維持費の比較、用途ごとの車種は社用車のおすすめ車種で確認できます。
保険は契約台数も確認します。一般に10台以上はフリート契約、9台以下はノンフリート契約と呼ばれ、割引の考え方が異なります。10台前後の会社は、車両の増減を保険代理店に早めに伝えて見積もりを比較するとよいでしょう。事故の修理費や車が使えない期間の代替費用も、台帳に記録しておくと次の対策を検討する材料になります。
繁忙期だけ足りない車は、常に必要な台数と分けて考えます。年に数ヶ月だけ必要な車を通年で持つと、動かない期間の費用がかかるためです。購入、リース、月単位レンタカーの総額の違いは法人の社用車の費用比較で整理しています。
社用車管理規程には私用、事故、違反の扱いを短く書く
規程の役割は、問題が起きた後に判断で迷わないようにすることです。長い文書にするより、従業員が読んで迷わない長さにまとめます。少なくとも次の内容は決めておきましょう。
- 運転できる人の範囲と、免許証を確認する時期
- 予約、鍵の受け渡し、返却時の給油のルール
- 私用利用の可否と、通勤や直行直帰の扱い
- 運転前の点検とアルコールチェックの手順
- 事故や故障が起きたときの連絡先と報告の順番
- 駐車違反の反則金など、費用を誰が負担するか
特に事故の報告順は、運転者がその場で迷わないように、警察、会社、保険会社の連絡先を車内にも置いておきます。業務中の事故では、運転者本人だけでなく会社も民法上の使用者責任や自動車損害賠償保障法上の運行供用者責任を問われる場合があります。費用負担や懲戒に関わる条文は、就業規則との整合も含めて社会保険労務士や弁護士に確認してください。
Excelで足りるのは台帳を少人数で更新できる間で、拠点が増えたらシステムを検討する
管理システムは台数だけで決める必要はありません。1拠点で更新する人が1〜2人なら、台帳と記録表はExcelやスプレッドシートで十分に運用できます。一方、次のような状況が増えてきたら、車両管理システムやアルコールチェックのクラウドサービスを比較する時期です。以下は法令上の基準ではなく、編集部の目安です。
- 複数の拠点で同じファイルを更新し、最新版が分からなくなる
- 直行直帰が多く、確認記録の入力が後回しになっている
- 記録の提出を求められたときに、日付や運転者で探すのに時間がかかる
- 車の予約が重なる、または空いている車が分からない
導入の前に、この記事の台帳項目と運用ルールを決めておくと、必要な機能を絞り込めます。運用が決まらないままシステムを入れると、入力項目が増えるだけで終わる場合があるためです。
リース車やレンタカーを混ぜるなら台帳に契約条件の列を足す
所有車と借りる車では、会社が手配する範囲が変わります。同じ台帳で管理する場合は、車検や保険の手配先、返却日、走行距離の上限を列に足しておきます。リースは契約内容によって範囲が異なるため、契約書を確認してください。参考として、マンスリーゴーの通常クラスの2026年11月時点の条件を並べます。
| 確認項目 | 自社所有 | マンスリーゴー |
|---|---|---|
| 車検・法定点検 | 自社で手配 | 料金に含む |
| 任意保険 | 自社で加入 | 料金に含む。自損事故の修理代などは対象外 |
| 燃料 | 自社負担 | 利用者負担で満タン返却 |
| 走行距離 | 制限なし | 30日3,000kmまで。超過は1kmあたり22円(税込) |
| ETC | 自社で用意 | 車載器は標準装備。カードの貸出はなし |
| 車種 | 自社で選ぶ | クラスから案内。車種の指定は不可 |
借りた車でも、運転前の確認は会社側の仕事として残ります。酒気帯び確認や日常点検を所有車と同じ流れに入れ、登録番号を記録表に追加してください。マンスリーゴーでは運転者を最大4名まで無料で登録でき、利用には23歳以上、免許取得から3年以上などの条件があります。グリーン免許では利用できないため、運転者を決める前に確認が必要です。
また、通常クラスは主に2010〜2015年式前後の車両で、安全装備が最新仕様とは限りません。社内で衝突被害軽減ブレーキの装備などを基準にしている場合は、借りる前に相談してください。途中解約しても未利用期間の返金はなく、延長は返却予定日の7日前までの連絡が必要なため、台帳には返却日と連絡期限も入れます。費用面のクラス別料金や保険と補償の範囲も確認しましょう。たとえば軽バンクラスを3ヶ月借りる場合の車両料金は、税込62,700円の3ヶ月分で188,100円です。燃料代や配車料金、加入する場合の免責補償料などは別になることがあります。
新しい車の納車待ちや繁忙期で一定期間だけ車を増やしたい場合は、法人向けの長期レンタカーも選択肢の一つです。経理処理はレンタカー代の勘定科目で確認できます。
結局、社用車の管理は台数に応じて3段階で整えると無理がない
どこまで管理するかは、事業所ごとの台数で判断すると分かりやすくなります。1台しかなくても点検と保険の管理は必要なので、次の段階は積み上げて考えてください。
| 事業所の台数 | 優先して整えること |
|---|---|
| 1〜4台(定員10人以下) | 台帳の作成、車検と保険の期限管理、点検の担当決め、簡単な規程 |
| 5〜19台 | 安全運転管理者の選任と届出、酒気帯び確認と記録の保存、運転日誌、点呼 |
| 20台以上 | 副安全運転管理者の選任、拠点をまたぐ記録の統一、システムの比較 |
これから整える会社は、今週中に全車の車検証と保険証券を集めて台帳を作り、拠点ごとの台数を数えるところから始めるのがおすすめです。逆に、すでに台帳と記録が回っている会社は、新しいツールを増やす前に、1稼働日あたりの費用で使われていない車を確認すると効果が見えやすいでしょう。
社用車の管理でよくある質問
社用車が4台なら管理をしなくても問題ありませんか?
問題がないとはいえません。安全運転管理者の選任基準に届かない場合でも、車検、点検、保険は必要です。事故を防ぐ目的で、自主的にアルコールチェックを行う方法もあります。ただし定員11人以上の車を使う場合は、1台から選任が必要です。
アルコールチェックの記録は紙でも大丈夫ですか?
紙でもデータでも保存できます。宮城県警察の案内では、データや書面での記録が可能とされ、運転日誌や業務日誌への記載も例に挙げられています。どちらの場合も必要な項目をそろえ、1年間保存して、すぐに探せる形にしておきます。
車検を受けていれば定期点検は不要ですか?
不要ではありません。車検は検査時点で基準に適合しているかを確認するもので、次の検査までの安全を保証するものではないと国土交通省中国運輸局が説明しています。車検と車検の間の年にも定期点検の期限を入れて管理します。
安全運転管理者が休みの日はアルコールチェックをどうすればよいですか?
副安全運転管理者や、あらかじめ指定した補助者に確認を任せられます。酒気帯びが確認された場合に備えて、すぐ安全運転管理者へ報告し、運転中止などの指示を受ける手順まで決めておくことが必要です。
一定期間だけ社用車が足りない場合は、1週間または月単位で借りられる長期レンタカー「マンスリーゴー」も選択肢の一つです。任意保険や定期メンテナンスを含む料金体系で、カーリースのような与信審査は原則不要、契約はオンラインで手続きできます。利用の流れは初めての方へ、受け渡しの条件は配車・引取の案内をご確認ください。空車状況や複数台の相談は、LINEで受け付けています。

