「車を廃車にしたいが、ローンがまだ残っている」「車検証の所有者欄を見たら、知らない会社の名前が書いてあった」というときは、まず車検証の所有者欄を確認してください。廃車の申請には所有者本人の意思表示が必要なため、所有者が信販会社や販売店の名義になっている車は、そのままでは永久抹消登録も一時抹消登録もできません。最初に必要なのは、信販会社に連絡して所有権を解除してもらうことです。所有権解除は原則としてローンを完済していることが前提ですが、事故で車が走行できなくなった場合など、状況によっては残債があっても相談できることがあります。この記事では、所有権が信販会社名義になっている車を廃車にする際の流れと、手続きが進められないケースを、行政書士事務所や廃車専門業者が公開している情報にもとづいて整理します(2026年8月時点の情報です)。
ローンが残っている車は、信販会社の同意がなければ廃車の申請ができない
車をローン(分割払い)で購入すると、完済までの間は車検証の「所有者」欄が信販会社や販売店の名義になっており、実際に運転している方は「使用者」として登録されているだけの状態になります。これは「所有権留保」と呼ばれる仕組みで、支払いが滞った場合に備えて、信販会社が車両を担保として所有権を保持しているものです。
永久抹消登録や一時抹消登録といった廃車の申請は、車検証上の所有者の意思表示にもとづいて行う手続きです。そのため、所有者が信販会社のままでは、使用者であるご自身の判断だけで廃車の申請書を提出することはできません。まず信販会社に連絡し、所有権を自分の名義に移す「所有権解除(移転登録)」を行う必要があります。所有権解除は国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイトでも、名義変更(移転登録)の一区分として案内されています。
車検証の「所有者」と「使用者」欄の違いを確認するのが最初の一歩になる
車検証には「所有者」欄と「使用者」欄という2つの欄があります。ローンを完済して所有権解除まで済んでいる車であれば、この2つの欄は同じ名前になっているのが通常です。一方、所有者欄に信販会社や販売店の名前が入っている場合は、所有権留保の状態がまだ続いていることになります。廃車を検討し始めたら、まずこの所有者欄を確認し、自分の名前になっていなければ、所有権解除がまだ済んでいないと考えて手続きを進める必要があります。
ローンを完済していない車は原則廃車にできないが、事故で走行不能になった場合は例外がある
ローンの残債が残っている状態では、信販会社が所有権解除の書類を発行してくれないことが多く、原則としてはローンを完済していることが前提になります。完済すると信販会社から完済証明書が送付されますが、これだけでは所有権は自動的には移らず、あらためて所有権解除を依頼する必要があります。
一方で、事故を起こして車に乗り続けることができなくなった場合や、修理できないほどの故障が生じた場合など、状況によっては残債が残っていても信販会社が所有権解除の書類を発行してくれることがあります。対応の可否は信販会社や状況によって異なるため、「ローンが残っているから廃車にできない」と決めつけずに、まずは信販会社のコールセンターなどに事情を説明して確認することが最初の行動になります。
所有権解除に必要な書類は、信販会社から取り寄せる書類とお客様側で用意する書類に分かれる
所有権解除の手続きでは、信販会社から取り寄せる書類と、ご自身で用意する書類の両方が必要になります。信販会社によって書式や呼び名は異なりますが、一般的な組み合わせは次のとおりです。
| 区分 | 主な書類 |
|---|---|
| 信販会社から取り寄せる書類 | 譲渡証明書、委任状(信販会社の実印相当の押印付き)、信販会社の印鑑証明書、完済証明書 |
| お客様側で用意する書類 | 車検証、新所有者の印鑑証明書(発行から3か月以内)、新所有者の実印、住民票、自動車税納税証明書 |
| 軽自動車の場合 | 実印・印鑑証明書は原則不要で、新所有者の自署で手続きが進められる |
信販会社への依頼から書類が届くまでは、会社によって差がありますが数日から2週間程度かかることが一般的です。印鑑証明書には発行から3か月という有効期限があるため、書類が揃ったら早めに運輸支局(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)へ申請することが大切です。
所有権解除の申請先は、普通車が運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会になる
所有権解除(移転登録)の申請先は、車の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局です。軽自動車の場合は、軽自動車検査協会の管轄事務所が窓口になります。国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイトでは、申請書をオンラインで作成して印刷し、必要書類とともに窓口へ持参する方法が案内されています。申請には登録手数料も必要になりますが、具体的な金額や納付方法は窓口や同ポータルサイトの案内で確認してください。
運輸支局や軽自動車検査協会の窓口は基本的に平日の日中のみの受付です。書類に不備があるとその場で受理されないこともあるため、初めて申請する場合は移動時間も含めて半日程度を確保しておくと安心です。
自動車税を長期間滞納していると所有権解除が進まない場合がある
ローンを完済していても、自動車税を滞納していると、信販会社が所有権解除の手続きに応じてくれない場合があります。廃車専門業者の案内では、2年以上の滞納がある場合に、納税を済ませるまで手続きが進められないケースが紹介されています。滞納期間の基準や対応方針は信販会社によって異なるため、所有権解除を依頼する前に、自動車税の納税状況も確認しておくと手続きがスムーズになります。自動車税の支払いそのものが難しい場合の対処法は、自動車税が払えない時の全対処法でも詳しく解説しています。
所有権解除が終わったら、一時抹消登録と永久抹消登録のどちらにするかを選ぶ
所有権解除が完了し、車検証の所有者がご自身の名義に変わったら、次に「一時抹消登録」と「永久抹消登録」のどちらで廃車にするかを決めます。一時抹消登録は車を解体せずに使用を中止するだけの手続きで、あとから再登録して公道を走れる状態に戻せます。永久抹消登録は車をリサイクル業者に引渡して解体処分する場合に行う手続きで、車検残存期間が1ヶ月以上あれば自動車重量税の還付を受けられる場合があります。それぞれの必要書類・費用・還付の条件など、廃車手続き全体の詳しい内訳は廃車手続きの必要書類と費用まとめでまとめていますので、所有権解除が終わったあとはあわせてご確認ください。
事故で車両保険を使う場合は、ローンの残債の清算方法も同時に確認したい
事故で車が修理できないほど損傷し、車両保険を使って全損の扱いになる場合、保険金はまずローンの残債への一括返済に充てられることが一般的です。保険金が残債を下回る場合は、差額をご自身で負担して完済することになります。残価設定型クレジット(残クレ)を利用している場合は、通常のローンとは残債の考え方や清算方法が異なる点があるため、詳しくは残クレ中に事故を起こしたらどうなる?残価精算と保険適用の仕組みで解説しています。ローンの清算方法によって所有権解除に進めるタイミングも変わってくるため、保険会社と信販会社の両方に早めに状況を伝えておくことをおすすめします。
所有権解除から廃車完了までは、書類のやり取りだけで数日から数週間かかることがある
所有権解除の依頼から書類が届くまでの数日から2週間程度に加えて、運輸支局への申請、そのあとの一時抹消登録・永久抹消登録の手続きを合わせると、廃車が完了するまで全体で数週間程度かかることがあります。平日に運輸支局へ行く時間を確保しづらい場合や、信販会社とのやり取りに不安がある場合は、行政書士や廃車専門業者に一部の手続きを依頼する方法もあります。
所有権解除の書類待ちや、廃車の申請が完了するまでの間、通勤や送迎で車が必要になることがあります。その場合、1週間・1ヶ月単位で契約できる長期専門レンタカー「マンスリーゴー」も選択肢のひとつです。任意保険や定期メンテナンスが料金に含まれ、カーリースのような与信審査は原則不要で、契約はオンラインで完結します(配車・引取の対応可否は場所や拠点によって異なります)。
ローンが残っている車の廃車についてよくある質問
- ローンが残っている車を廃車にすることはできますか?
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原則としてローンを完済し、信販会社から所有権解除の書類を受け取ることが前提になります。ただし、事故で走行できなくなった場合など、状況によっては残債が残っていても信販会社が対応してくれることがあるため、まずは信販会社に確認することをおすすめします。
- 所有権解除の手続きは自分でできますか?
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信販会社から書類を取り寄せ、運輸支局(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)へ申請すれば、ご自身で行うこともできます。平日に時間を確保しづらい場合は、行政書士や廃車専門業者に代理を依頼する方法もあります。
- 軽自動車の所有権解除も同じ書類が必要ですか?
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軽自動車の場合は、実印や印鑑証明書が原則不要で、新所有者の自署で手続きが進められる点が普通車と異なります。必要書類は信販会社や軽自動車検査協会の案内であらためて確認してください。
- 所有権解除をしないまま車を引取業者に渡してもよいですか?
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永久抹消登録にも所有者の意思表示が必要なため、所有権解除が済んでいない状態では抹消の申請には進めません。引取業者に車を渡す前に、所有権の状態を確認しておく必要があります。
- 所有権解除にはどのくらいの期間がかかりますか?
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信販会社への依頼から書類到着までに数日から2週間程度、そのあとの運輸支局への申請を含めると、全体で数週間程度かかることがあります。印鑑証明書などの有効期限にも注意してください。
まとめ:ローンが残っている車の廃車は、信販会社への確認が最初の一歩になる
ローンが残っている車、あるいはローンを完済したものの名義変更(所有権解除)をしていない車を廃車にする場合、最初に行うべきことは信販会社への連絡です。完済していれば所有権解除の書類を取り寄せ、完済していない場合でも事故や故障などの事情によっては相談に応じてもらえることがあります。所有権解除が終われば、一時抹消登録・永久抹消登録のどちらで廃車にするかを選べる状態になります。
信販会社とのやり取りや運輸支局への申請に対応できる時間がある方は、ご自身で進めることで代行費用を抑えられます。一方で、平日に時間を取りづらい方や、書類の準備に不安がある方は、行政書士や廃車専門業者への依頼を検討する方法もあります。所有権解除や廃車の手続きを進めている間、通勤や送迎で車が必要な場合は、マンスリーゴーのような1週間・1ヶ月単位のレンタカーを一時的な移動手段として検討する方法もあります。廃車手続き全体の必要書類・費用については廃車手続きの必要書類と費用まとめ、廃車後の移動手段については廃車後すぐ車が必要なときの対処法もあわせてご覧ください。

