軽貨物安全管理者講習は、貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)を営むすべての事業者が、2025年4月1日から原則として受講しなければならない講習です。国土交通省に登録された機関で受講でき、2026年9月時点で17の機関が登録されています。受講料や時間は機関によって異なり、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)が実施する講習は5時間・3,700円です。すでに事業を行っている事業者には選任までの猶予期間もあります。この記事では、講習をどこで受けられるか、費用はいくらか、義務化の具体的な内容を、国土交通省とNASVAの公開情報にもとづいて整理します。
軽貨物安全管理者講習とは、貨物軽自動車運送事業者に義務づけられた講習のことだ
軽貨物安全管理者講習とは、正式には「貨物軽自動車安全管理者講習」と呼ばれる講習で、黒ナンバーで貨物軽自動車運送事業を営む事業者が、営業所ごとに選任する「貨物軽自動車安全管理者」になるために受講する講習です。国土交通省によると、宅配便の取扱個数の増加にともない軽自動車による運送需要が拡大する一方で、平成28年から令和5年にかけて、保有台数1万台あたりの事業用軽自動車の死亡・重傷事故件数は約4割増加しました。この状況を受け、国土交通省は令和6年の法令改正にもとづき、令和7年4月から貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化しています。
2025年4月1日から営業所ごとに安全管理者の選任が義務になった
2025年4月1日から、貨物軽自動車運送事業を営むすべての事業者は、営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を選任する必要があります。選任できるのは、次の3つの要件のいずれかを満たす人です。1つ目は貨物軽自動車安全管理者講習を選任の日前2年以内に修了した人、2つ目は同講習を修了したうえで貨物軽自動車安全管理者定期講習を選任の日前2年以内に修了した人、3つ目は一般貨物自動車運送事業などの運行管理者として選任されている人です。個人事業主が一人で事業を行っている場合も選任の対象になり、自分自身が講習を受けて安全管理者になるケースが多くなります。
講習はどこで受けられる?2026年9月時点で登録されているのは17機関
講習は、国土交通省が登録した講習機関でのみ受講できます。2026年9月時点で国土交通省のページに掲載されている登録機関は17機関あり、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)、ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社、株式会社ロジクエスト、株式会社GakkenLX、一般社団法人全国軽貨物協会など、eラーニング形式を扱う機関のほか、各地の自動車教習所など対面形式のみを扱う機関も登録されています。登録機関は今後も増減する可能性があるため、申し込み前に必ず国土交通省の登録貨物軽自動車安全管理者講習機関の一覧で最新の情報を確認してください。
たとえば、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)はeラーニング形式で、手数料は5時間の講習で3,700円です。ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社や株式会社ロジクエスト、株式会社GakkenLXもeラーニング形式の講習を提供しており、一般社団法人全国軽貨物協会はeラーニングと対面の両方に対応しています。これら以外にも、対面形式のみを扱う自動車教習所や安全教育センターが全国各地で登録されています。料金や講習時間は機関によって異なる可能性があるため、NASVA以外の詳細は各機関の公式サイトで確認してください。
eラーニング形式なら自宅やスキマ時間に受講しやすい
登録機関の多くはeラーニング形式を採用していて、スマートフォンやパソコンから自宅で受講できるのが特徴です。機関によっては申し込みから決済までを済ませればその日のうちに受講を始められるとしているところもあり、店舗や教習所に出向く時間を取りにくい個人事業主や、配送の仕事の合間に受講したい人に向いています。ただし、受講に必要な通信環境や視聴時間の目安は機関ごとに異なるため、申し込み前に各機関の案内を確認しておくと安心です。
対面形式は自動車教習所などの会場に行って受講する
登録機関の中には、対面形式のみで講習を行っている自動車教習所や安全教育センターもあります。対面形式はeラーニングに使う通信環境が整っていない人や、その場で質問しながら受講したい人に向いています。一方で、対面形式は会場までの移動時間や日程の調整が必要になるため、開催場所や開催日が自分の営業エリアと合っているかを事前に確認しておく必要があります。
受講料はNASVAで3,700円、機関によって時間や金額が異なる
NASVAが実施する貨物軽自動車安全管理者講習は、講習時間5時間、手数料3,700円です(2026年9月時点)。この金額と時間はNASVAの講習に関する条件であり、ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社や株式会社ロジクエストなど他の登録機関の料金や時間は、2026年9月時点で本記事側では確認できていません。同じ「貨物軽自動車安全管理者講習」という名称であっても、機関によって料金や講習時間が異なる可能性があるため、比較検討する場合は各機関の公式サイトに掲載されている最新の料金表を直接確認してください。
すでに黒ナンバーで事業をしている人は令和9年3月31日まで選任が猶予される
令和7年3月31日以前に貨物軽自動車運送事業の届出を行っていた既存事業者については、貨物軽自動車安全管理者の選任に猶予期間が設けられています。NASVAの案内によると、この猶予期間は令和9年3月31日までです。一方で、令和7年4月1日以降に新たに事業の届出を行う事業者については、この猶予の対象にはならないため、届出と同時期に安全管理者の選任準備を進める必要があります。自分の事業がどちらに当たるかは、届出を行った時期を基準に確認してください。
選任後も2年ごとに定期講習を受けないと要件を満たせなくなる
貨物軽自動車安全管理者講習を修了して安全管理者に選任された人のうち、運行管理者としての要件で選任されているわけではない人は、選任の日前2年以内に貨物軽自動車安全管理者定期講習を修了しつづける必要があります。つまり、最初の講習を受けて終わりではなく、2年ごとに定期講習を受講しなければ、安全管理者としての要件を満たせなくなる可能性があります。定期講習の実施状況や日程も、初回の講習と同じく国土交通省の登録機関一覧で確認できます。
講習を受けずに営業した場合の取り扱いは運輸支局への確認が必要
貨物軽自動車安全管理者の選任義務に対応していない場合、行政からの指導や是正の対象になる可能性がありますが、具体的にどのような対応が取られるかは事業者ごとの状況によって異なります。本記事の執筆時点で、選任義務違反そのものに対する罰則の詳細を一律に断定できる公開情報は確認できていません。正確な取り扱いについては、管轄の運輸支局または国土交通省の担当窓口に直接確認することをおすすめします。
軽貨物車の準備期間中に生活の車が必要なら長期レンタカーも選択肢になる
貨物軽自動車安全管理者の選任準備と並行して、軽貨物車そのものの納車待ちが発生することもあります。中古車の納車に時間がかかったり、車検証の変更やナンバー交付の手続きに日数がかかったりする間、通勤や買い物など生活のための移動手段が別に必要になる場合があります。黒ナンバーの制度全体は黒ナンバーとは何かを解説した記事で、取得の手順は黒ナンバーの取得方法を解説した記事で確認できます。マンスリーゴーは、1週間や1ヶ月単位で利用できる長期専門のレンタカーサービスで、任意保険や定期メンテナンスを含んだ料金体系のため、カーリースのような与信審査を原則必要とせずに利用できます。契約はオンラインで完結し、空車状況の確認や相談はLINEでも受け付けています。配車・引取にも対応していますが、対応可否や料金はエリアによって異なります。
なお、マンスリーゴーの車両は自家用登録のレンタカーであり、貨物軽自動車運送事業の届出済みの事業用車両ではありません。そのため、黒ナンバーとしての運送業務そのものに使うことはできず、あくまで納車待ちや準備期間中の生活の移動手段としての選択肢になります。
結局、軽貨物安全管理者講習はどんな人が今すぐ動くべきか
軽貨物安全管理者講習は、2025年4月1日以降に新たに貨物軽自動車運送事業の届出を行う個人事業主や事業者にとって、届出と同時に準備を進めるべき講習です。すでに事業を行っている既存事業者は令和9年3月31日までの猶予がありますが、猶予期間があるからといって後回しにすると、期限直前に希望する日程や形式の講習が埋まってしまう可能性もあります。自宅で手続きを進めたい人はeラーニング形式の機関を、直接説明を受けながら受講したい人は対面形式の機関を選ぶなど、自分の働き方に合った登録機関を早めに確認しておくことをおすすめします。
よくある質問
個人事業主が一人で軽貨物運送をしている場合も講習は必要ですか
はい。営業所が一つで、事業を一人で行っている個人事業主の場合も貨物軽自動車安全管理者の選任対象になります。多くの場合、事業主自身が講習を受講して安全管理者になります。
軽貨物安全管理者講習はいつまでに受ければいいですか
令和7年4月1日以降に新たに事業の届出を行う場合は、届出後速やかに選任の準備を進める必要があります。令和7年3月31日以前から事業を行っている既存事業者は、選任について令和9年3月31日までの猶予があります。
講習はオンラインだけで完了しますか
機関によって異なります。NASVAなど複数の機関がeラーニング形式を提供していますが、対面形式のみを扱う登録機関もあるため、希望する受講方法に対応した機関を国土交通省の登録機関一覧から選ぶ必要があります。
定期講習は誰が対象ですか
貨物軽自動車安全管理者講習を修了して選任された人のうち、運行管理者としての要件で選任されていない人が対象です。選任の日前2年以内に貨物軽自動車安全管理者定期講習を修了しつづける必要があります。
講習を受けずに営業するとどうなりますか
選任義務に対応しないまま営業を続けると行政からの指導などの対象になる可能性がありますが、具体的な取り扱いは事業者の状況により異なります。詳細は管轄の運輸支局に確認することをおすすめします。
軽貨物安全管理者講習の準備と合わせて、納車待ちなど一時的に車が必要になったときは、1週間・1ヶ月単位で利用できるマンスリーゴーの料金プランや初めての方向けのご利用の流れも参考にしてください。

